本記事は後編です。
前半、中編記事はこちらからご確認ください。
【体験談】元都内有名店で働いていた美容師が半年で美容師をやめるまでの話(前編)
【体験談】元都内有名店で働いていた美容師が半年で美容師をやめるまでの話(中編)
前回は入社してから一ヶ月までとレッスンについて書いていきました。
今回は辞める決意をして辞めるまでを話していきます。
はじめに
僕は美容専門学校を卒業してから、とある原宿の美容室に就職しそこでアシスタントとして働いていました。
結論から話すと激務、人間関係最悪、薄給の三重苦で半年で退職しています。
なので、半年間という短い期間にはなりますが、美容師として働いていて思ったこと、実際に起きたことを話していきたいと思います。
始めて書いた記事になるので駄文すみません。書いている内容は事実です。
初めての給料日
入社二ヶ月目になると、始めての給料日がやってきました。
金額は手取りで約13万でした。
金額に関しては低いと思いましたが、求人票でこの金額くらいになると予想はできていました。
にしても低すぎる笑
明らかに実労働時間と給料があっていません。
給料水準は現在はどうなのかわかりませんが、当時は有名店ほど給料が低い体質があったと思います。
有名店は毎年かなりの人数が応募してくるため、求人に困っていません。
そして相場より給料を低くしても有名店で働きたい人が多いため集まります。
この負のループが美容師が給料が低い原因の1つになっています。
ただ、今思うとよくこの金額で生活できていたと思います。
当時の生活についてはまた別で記事にしようと思います。
リアルにもやしばっか食べてましたが笑
地獄のシャンプー工場
日々の業務はどんな感じだったかというと、シャンプーレッスンを合格した僕は実際にお客さまにシャンプーをするようになっていました。
ただ、僕がいたお店は人気店だったため多くのお客さまが来店されます。
そのため、シャンプーをする人数も土日にもなると2,30人くらいは当たり前のようにシャンプーをしていました。
普通の店は一日に2,30人シャンプーすることはないと思います笑
それに加えて、前回も書いた以下の業務も平行してやっていました。
- 床の掃除(カットした毛髪の掃除)
- ドリンク提供
- 雑誌を持っていく
- お客さまをシャンプー台につれていく(シャンプーはまだできない)
- カラーのヘルプ(カップ持つだけ)
- オープン前の準備
- 閉店後の片付け
最初の方はお客さまに関われる仕事がやっとできるようになったので楽しかったです。
しかし、一人のお客さまに対してシャンプーの時間が何分以内と決められていたため、規定いないにシャンプーを終わらせないと先輩美容師から罵倒が待っていました。
そして、限界に急いでギリギリ間に合うかという規定のタイムだったので、日々タイムに追われながらシャンプーをしていました。
それをいじって、友達に近況報告をするときはよく
美容室じゃなくてシャンプー工場で働いているんだ〜笑
と、言っていたくらいシャンプーしかしていなかったです。
身体の限界
そんなこんなで毎日シャンプーをやり続けるという毎日を過ごしていましたが、体に異変が起こり始めます。
まず最初に手首が荒れはじめました。
働いていた美容室は手袋着用OKだったため、手は荒れることはあまりなかったのですが、手袋着用OKだったため美容師で多い手荒れに関してはきちんと対策されていました。
しかし、手袋をしていたとしても、手袋と手首の境目の部分が守られていません。
毎日たくさんの人数をシャンプーしていた事によって、守られていない手首の油分はなくなりカサカサになっていました。
手首を守る役割のある、油分がなくなったことによって、どんどん荒れていきました。
しかし、シャンプーをすることは辞められませんでした。
正確には、シャンプーをしなくなる事により、同期がシャンプーをしている中で自分だけがシャンプーができなくなることが嫌で無理やり毎日働いていました。
アシスタントははいかに早くスタイリストになれるかを常に同期と競い合っています。
手が荒れて業務ができなくなるだけで他のレッスンにも影響が出るためシャンプーを辞めることは基本的にはできません。
そのため、手が荒れてもシャンプーを辞めることはありませんでした。
人間関係の疲弊
人間関係でも疲弊していきました。
人間関係は美容室に限らず、どの業界でも起きることだと思います。
ただ、これは僕の偏見ですが、美容室はだいたい人間関係があまり良くない比率が高いイメージがあります。
あくまで噂レベルですが、今有名なメンズ美容室Oは暴力あたり前で人間関係悪かったと友人に聞きました
僕が働いていた美容室も例外なく人間関係は悪かったです。
- 女性アシスタントへの優遇
- インカムの暴言の嵐
- 裏で激詰め
- シャンプー中に遅いと蹴られる
特に僕が気になった点を書き出しましたが、これ以外にも細かい点で色々あります。
その中でも一番辞める原因となったのは女性アシスタントの優遇です。
レッスンの中でメンズの髪を乾かすことができる試験がありました。
そこで、メンズだけ全員試験に落ちました。
正直試験内容としては難しくなく、メンズだけ全員落ちるようなレベルではありません。
そこからメンズは3回連続でレッスンを落ち続けました。
落ち続けて別の先輩美容師に聞いた話によると、レッスン担当スタイリストは女性好きで有名でメンズのアシスタントに対しては厳しく、レッスンでも合格をなかなか出さないとのことでした。
結局僕は辞めるまでメンズの髪を乾かすレッスンに合格することなく辞めました。
辞める決意
ここまでで半年程たっておりましたが、美容室を辞める決断をします。
このままここで働いたところで以下の懸念点が自分の中で拭えなかったので辞める決心をしました。
- 晴れてスタイリストになっても、売れなければ給料は変わらず、自分がこのまま働いていった先の未来が見えた
- 差別が横行しており、人によってレッスンの合否が変わること等納得できない部分が多数あった
- 毎日の重労働で体力的にも限界で、加えて手荒れも限界を迎えていた
- 日々の罵倒や暴力で精神的に限界を迎えた
こうして、有名美容師になることを目指して入った有名美容室を半年で退社しました。
ただ、美容師で稼げる人は稼げるのは事実です。
実際、僕が働いていた美容室で人気のあったスタイリストは結構な額の給料をもらっていました。
それでも、人気が出るスタイリストになる確率と稼げないスタイリストになる確率だったら後者のほうが高いと判断して辞める決断をしまいした。
これも僕の偏見かもしれませんが、美容業界は弱肉強食の世界であり、僕みたいに美容業界の実態にあきれた人はすぐに辞めていきますが、これに耐えた人とうまく取り入った人が残る世界だと思います。
そして、後輩をいじめるという文化が残っていって上のトップまでもがそうなってしまい、現在の美容師を取り巻く環境の悪さにつながっているんだと思います。
また、僕が辞めた時点で他店を含めた同期入社20人のうち、半分程は辞めていました。
美容師が離職率高いと言われる所以が実際に働いてみて実感しました。
辞めてから
次に何をするかも決めずに辞めたため、僕は三ヶ月間空白の期間がありました。
ただ、その空白期間で自分の人生を見つめ直し、今の自分があると思っています。
ここまで話したことは、もちろんすべての美容室がこのような現状とは限りません。
実際に、美容師友達に話を聞いてもここまでひどいところあまり聞きません。
ですが、僕がここで働いて結果として良かったと今は思えています。
働いていた当時はこの世の地獄かと思っていましたが、逆に捉えると社会人になって1社目で地獄を経験できたということになります。
もし、この企業に就職していなかったら今の自分はないかもしれないし、今の企業に入社していなかったかもしれないと考えたらこの地獄を経験してみてよかったと思います。